2016年07月12日

ドラゴンフライ(内臓はどこ?)

作者は、河合莞爾。

ドラゴンフライとは、トンボのこと。

【本の帯】

多摩川の河川敷で臓器を抜き取られた猟奇死体が発見された。

警視庁捜査第一課の警部補・鏑木率いる4人の特別捜査班は、現場に残されたトンボのペンダントを手掛かりに群馬県の奥地の村へ向かう。

被害者は村出身の青年・遊介だと判明。

やがて20年前に起きた夫婦殺害、ダム建設反対運動、巨大トンボ伝説など、事件との関連が次々と明らかになり混迷を極めていく。

鏑木班は遊介の幼馴染みである泉美と建のふたりに事情を聴くが……。

【読書後記】

「デッドマン」に続いて、シリーズ2作目。


読みだして一時すると、随分前に読んでいたことを思い出した。

それでも、猟奇的で怪奇的な導入部分のおもしろさや鏑木班の面々がキャラに富んでいるもんで最後まで読んでしまった。


鏑木班というのは、臨時に集められた捜査一課の4人グループ。

リーダー格の警部補、秀才の若手刑事、ガチガチの昔気質な中年刑事、プロファイルの専門家という4人。


この、「専門家」が集まった・・・という設定が好きなんだ。

七人の侍、荒野の7人、M-Iシリーズ等々。

それぞれの持ち味を生かしたて、難事件に挑む展開が楽しい。


また、過去と現代を交互に描き出している構成も大好きだ。

事件の中心にいる三人の若者の平和な山里での暮らし。

そこで遭遇した20年前の夫婦惨殺事件。

それが、現代の猟奇的殺人事件へとリンクする。


鏑木班の面々が、遠い過去を深く深く探っていきながら核心に迫るストーリーが実におもしろい。

ユーモアに溢れたチームの会話にも興味がそそられる。


途中で犯人は分かるんだが、動機や死体損壊の理由が分からない。

読者は、その疑問にイライラしながら最後まで引っ張られていく。

見事なミステリーだった。




posted by 田沼 at 23:02| 福岡 ☁| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月08日

精鋭(主人公がSATに)

今野敏をまた読んでしまった。

【本の帯】

柿田亮は研修を終えたばかりの新米巡査。

自分が警察官に向いているのか悩みつつも、機動隊を志望し、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊(SAT)の隊員を目指すが──。

優れた警察小説であり、成長物語でもある著者の新境地!

朝日新聞好評連載の単行本化。


【読後感想文】


新幹線に乗って、博多から東京まで出張に行く途中に読み終えてしまう本だ。


主人公は地域課の巡査、交番のお巡りさん。

それが、同僚と会話の中で警備部、機動隊に入隊したいと思うようになった。

厳しい訓練に明け暮れるうちに、今度はSATのメンバーになりたいと思った。

ここでも、厳しい訓練の末にSATに合格する。

テロの鎮圧に当たることを任務とするSATの隊員。

あれよあれよと思ううちに、サクセスストーリーが進んでいく。

銃撃戦もなければ、警察内部の対立やいじめもない。

恋物語もない。


すらすらと読んでしまえるところがいい。





posted by 田沼 at 13:43| 福岡 ☔| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月04日

和僑(プラチナタウンその後)

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作者は、楡 周平。

前作「プラチナタウン」のあらすじ

エリート商社マンの職を捨て故郷に戻った主人公が、生まれ育ったその東北の田舎町の町長に就任した。
まで
主人公は、私腹を肥やそうとする町議会のドン、さらに田舎特有の悪弊・非常識と闘いながら、仰天の再建計画(プラチナタウン建設)で財政破綻寸前の自治体を立て直すというストーリーだった。

仰天の再建計画というのがプラチナタウンで、老人施設を中心にした巨大テーマパークタウンの建設だった。

【本作の帯】

日本初の、豊かな老後がコンセプトの巨大定住型老人施設「プラチナタウン」を誘致、財政破綻寸前からV字回復した緑原町。

Uターンする人々も増え、町は活気を取り戻していた。

しかし立役者で、元四井商事の町長・山崎鉄郎は、忍び寄る危機に気がついていた。

-高齢者人口も減少に転じる将来、この町はどうなる?もう一つの主要産業・農畜産業は、TPPや従事者の高齢化と後継者不足という難問を抱えたままなのだ。

産業振興課課長の工藤登美子を相棒に、山崎の商社マンの血が騒ぎ出す!

読めば元気になる“時代先取り”小説。

【読後感想文】

和僑(わきょう)とは、中国の華僑(かきょう)に対応する言葉。

華僑は世界に広がった中国民族や一族が、国が滅びても自分たちの生き残りを図るリスクマネジメントのシステムだ・・・・と作者は言う。

そのシステムを日本人も・・・・というのが、この本の主旨だ。


高齢化社会がもたらす課題を提示し、ストーリー仕立てで課題解決の方途を提案してもらっているようだった。

以下は、この本から学んだこと。

@ 高齢化社会においては、生産性も消費性も減少の一途をたどり、その課題で苦しむのは今の若い世代が中・高年になった頃である。

だから、それに対応する策を今から考えておく必要がある。

A 消費性の落ちた日本ではものを造っても売れない時代が来る。

だから、海外に販路を求める以外に方法がない。

B 20年〜30年で高齢者人口のピークを迎えるので、その後の老人福祉施設は経営が困難になり、今後新しく老人福祉施設を造っても減価償却する前に破たんが来てしまう。

C 田舎には介護を要する単身老人が増えるので介護士を中心に若い援助が必要になる。

しかし、老人ばかりの町に若い人が移住するのは難しい。

その土地の特性を生かした新たな産業を興し、自分たちで若者を呼び込む自治体に再生するしか道はない。

E 組織的、経営的側面を重視した農業・畜産業の存在が重視される。

製品の輸送費や工場、倉庫等の維持管理費を総合的にマネジメントするノウハウを持った人材が必要である。

都会にはそれがあふれているので、地方で活用する方途が必要だ。

F 日本人は海外にないきめ細かなものづくり、接客態度というソフト面で優位に立っていることを日本人自身が意識する。

G 地方にはその土地の特性を理解した上で、柔軟な発想を展開する若いリーダーが必要とされている。

H 日本では、今後経営破たんやリストラが進んで、いい大学、いい会社に入っても先行きは不安である。

何ができ、何をやりたいのかをはっきり言える人材がさらに重要視される。  

等々。




posted by 田沼 at 03:12| 福岡 ☀| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする