作品名は「冬蛾」で、作者は柴田哲孝。
【本の帯】
依頼は雪に閉ざされた会津の寒村で起きた、事故の調査だった。
そこで目にした過去の陰惨な事件の痕跡。
次々と明らかになる連続大量殺人事件!
犯人は村人の中にいるのか。
古くから伝わる昔語りに隠された歴史の闇とは!?
残酷な悲劇の連鎖の謎を、解き明かすことができるのか!
【読後後期】
私立探偵 神山健介シリーズの第三弾。
主人公は、雪深い山里に招かれた。
その地では、数年前に散弾銃による猟奇的殺人が起きていたらしいが、村人は口を閉ざして語ろうとしない。
警察にさえ届けていないという。
そして一年前と数日前に起こった殺人事件。
古い昔の因習に包まれた平家の落人村で起こった連続猟奇的殺人事件。
その村は、雪に閉ざされて密室でもある。
おどろおどろした物語だ。
なんとなく「八つ墓村」を思い起こすし、横溝正史や戸川乱歩の匂いさえする。
作者はこんな物語を一度は書いてみたいと思ったんだろうなあ・・・と想像してしまう。
村長の息子に嫁いだ美女の動向も気にかかる。
半分くらい読み進めたあたりから、探偵の謎解きが始まるので、中々手放せずに一気読みしてしまった。
ラストシーンは、やっぱり「八つ墓村」みたいだった。
同じ探偵が活躍するシリーズなんだが、毎回ちがう舞台を演出してくれるので面白くて仕方が無い。
早速、シリーズの第四弾に進むとしよう。