2016年09月25日

解決まではあと6人

岡嶋二人の作品だ。

岡嶋 二人(おかじま ふたり)は、執筆担当の井上泉とプロット担当の徳山諄一によるコンビのペンネーム。

名前の由来は「おかしな二人」に由来しているらしいが、後に解散して井上泉は井上夢人として執筆をつづけている。

【本の帯】

次々と別の興信所を訪れては、「カメラの持ち主を探してほしい」「こういうお店を探してほしい」等々、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。

いったい、彼女の本当の目的は何なのか?

やがて、それぞれの調査報告がひとつの輪のように繋がって、事件の全容が明らかになっていく。

そして最後に新たな驚きが。

斬新なスタイルで読者に挑戦する、華麗なるメドレー・ミステリ。

1985年刊行時のタイトル『5W1H殺人事件』を改題。(講談社文庫)

【読後後記】

1985年というから、もう31年前の作品になる。

ストーリーは、四半世紀前の作品とは思えないくらいにスピーディーなタッチで描かれているからすごい。

作品は短編集になっていて、興信所ごとに違った依頼をする謎の女・平林貴子が登場する。

その彼女で結ぶオムニバス形式の物語だ。

共通して現れるのがもう一人、謎の男・吉池礼司。

たたき上げの刑事もチラホラと登場する。


最初の興信所へ依頼される内容は、「カメラの持ち主を探してください」

次が「緑のマッチに描かれた店の頭文字がV・Vで、上がマンションになっている喫茶店を探してください」

さらに、「世田谷区の駐車場に止められていたブルーバードの後部座席がなくなった理由を調べてください」

そして、「雑音だらけのような録音に隠された謎を探ってください」

最後の依頼は「宇野茂男を呼び出して・・古池礼司はいつ戻るのか・・と訪ねて欲しい」

それぞれの興信所が、まったく別個の案件をそれぞれに捜査する。

それぞれの依頼は完結するんだが、依頼そのものの意味はずっと解らない。

探偵の個性がいろいろで、短編ごとに楽しめるようになっている。



短編ごとに明らかになった依頼の内容が何を示すのかは第6編を待つことになる。

第6編ですべての依頼に隠された謎が繋がっていくというストーリーだ。


美辞麗句を抑えて平易な言葉で描きながら、登場人物の内面。を素直に表現する作調には感心させられた。

最後の大どんでん返し。

読者ながら「やられた!」と大笑いしそうだった。

騙されたことが、とてもうれしかった。



posted by 田沼 at 20:51| 福岡 ☀| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

漂流者たち 柴田哲孝

私立探偵 神山健介シリーズの第5弾

【本の帯】

2011年3月11日、東日本大震災が発生。

巨大津波の混乱の中、福島県いわき市でも無数の車が流された。

その一台の持ち主は、同僚の議員秘書を殺害し、6000万円の現金を手に逃走していた。

男は津波に呑まれて死んだのか。

金はどこへ? 

捜索を依頼された探偵・神山健介は、愛犬・カイを連れ、男の足取りを追い被災地を北上し始める──。

過酷な状況下で、やがて炙り出される権力の影。

男は何を目指して漂流するのか。辿り着いた地で神山が知る、衝撃の真実とは……。

人気シリーズ空前の問題作!

【読書後記】


今回は 、アクションやカーチェイスは抑えてのサバイバルものになっている。

このシリーズは、毎回テーマが違っていておもしろい。

全くの謎解きものがあったり、猟奇ものがあったり、ハードボイルドがあったりと趣向を変えて読者を楽しませてくれる。

作者は、こんな小説を書きたかったんだろうなあ・・という思いが伝わってくる。

シリーズの定番は、ヒロインとの恋話やカーチェイス。

それが、今回は全く登場しない。

2011年3月11日、東日本大震災という未曾有の大災害をテーマにしている。

プロローグで災害の瞬間が描かれ、依頼を受けた探偵が災害の地をサバイバルする。

一人の男を探して福島から秋田まで。

身の危険や枯渇する食料・水。

被災地、避難所で暮らす人々の様子や届かない援助の状況。

等々が、これでもかこれでもかというくらいに描かれている。

当時のTV放送は被災に合わなかった人々用に作られたものであって、被災者が欲しい情報はほとんど放送されなかったという記述には驚いた。

探偵ものに不可欠な物語のひねりや謎解きは正直言ってないが、望郷の思いを感じさせる優れた作品だったと思う。






posted by 田沼 at 16:21| 福岡 ☀| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月17日

秋霧の街 柴田哲孝

作者は、柴田哲孝。

【本の帯】

国際港湾都市、新潟。外国埠頭で日本人の若い女性が惨殺された。

犯人の男は、いまだ逃走を続けている。

余命わずかの被害者の父は「真犯人は別にいる…」と。

背後に蠢くロシア人の影、不可解な警察の動き、そして謎の美女・マリア…。

愛と壮絶な暴力が交錯する、衝撃のミステリー。

【読書後記】

私立探偵の神山健介シリーズの第4弾。

余命短い老人からの依頼で、探偵が調査に乗り出すシーンから本篇がスタートする。

今回は新潟の港町が舞台。

ロシア人のアウトローや新潟県警の悪徳警官が相手だ。

完全にハードボイルドタッチの作品に出来上がっている。

探偵が銃を使うなんて・・・・ということなかれ。

お話の世界なんだから、大概のことは許されるんだ。

「蘇る銀狼」や「野獣死すべし」・・・なんていう大藪春彦の作品に雰囲気が似ているようにも思える。

ロシア人高官が経営するホテルが、悪の巣窟になっている。

そこからロシア人の美女を救い出すミッションが、ラストのシーン。

シリーズの定番であるスピーディーなアクションとカーチェイスも健在だ。

大きなどんでん返しは無いが、十分に楽しませてくれる作品だ。

最後の最後に、謎の黒幕である日本人の正体を暴いて復讐するまでが描かれている。



posted by 田沼 at 20:17| 福岡 ☀| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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