岡嶋二人の作品だ。
岡嶋 二人(おかじま ふたり)は、執筆担当の井上泉とプロット担当の徳山諄一によるコンビのペンネーム。
名前の由来は「おかしな二人」に由来しているらしいが、後に解散して井上泉は井上夢人として執筆をつづけている。
【本の帯】
次々と別の興信所を訪れては、「カメラの持ち主を探してほしい」「こういうお店を探してほしい」等々、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。
いったい、彼女の本当の目的は何なのか?
やがて、それぞれの調査報告がひとつの輪のように繋がって、事件の全容が明らかになっていく。
そして最後に新たな驚きが。
斬新なスタイルで読者に挑戦する、華麗なるメドレー・ミステリ。
1985年刊行時のタイトル『5W1H殺人事件』を改題。(講談社文庫)
【読後後記】
1985年というから、もう31年前の作品になる。
ストーリーは、四半世紀前の作品とは思えないくらいにスピーディーなタッチで描かれているからすごい。
作品は短編集になっていて、興信所ごとに違った依頼をする謎の女・平林貴子が登場する。
その彼女で結ぶオムニバス形式の物語だ。
共通して現れるのがもう一人、謎の男・吉池礼司。
たたき上げの刑事もチラホラと登場する。
最初の興信所へ依頼される内容は、「カメラの持ち主を探してください」
次が「緑のマッチに描かれた店の頭文字がV・Vで、上がマンションになっている喫茶店を探してください」
さらに、「世田谷区の駐車場に止められていたブルーバードの後部座席がなくなった理由を調べてください」
そして、「雑音だらけのような録音に隠された謎を探ってください」
最後の依頼は「宇野茂男を呼び出して・・古池礼司はいつ戻るのか・・と訪ねて欲しい」
それぞれの興信所が、まったく別個の案件をそれぞれに捜査する。
それぞれの依頼は完結するんだが、依頼そのものの意味はずっと解らない。
探偵の個性がいろいろで、短編ごとに楽しめるようになっている。
短編ごとに明らかになった依頼の内容が何を示すのかは第6編を待つことになる。
第6編ですべての依頼に隠された謎が繋がっていくというストーリーだ。
美辞麗句を抑えて平易な言葉で描きながら、登場人物の内面。を素直に表現する作調には感心させられた。
最後の大どんでん返し。
読者ながら「やられた!」と大笑いしそうだった。
騙されたことが、とてもうれしかった。