作者は、柴田哲孝。
【本の帯】
姉の遺体を捜してほしい。
それはモデル・佳子の奇妙な依頼から始まった。
ストーカーが双子の姉を拉致、そのまま行方不明になっていた。
手掛かりは「土の中から姉の声が聞こえる」という曖昧な話だけなのだが…。
やがて死んだ犯人の過去を追ううちに、戦前の満州から続く名家の闇が浮上してきて…。
【読書後記】
探偵 神山健介シリーズの第2弾だ。
一作目は、神山健介が郷里で探偵を始めるまでの経緯や初めての調査依頼から事件に巻き込まれていく姿を描いた作品だった。
牧歌的な山里に起こった殺人事件と探偵の生い立ちが浮き彫りになる。
山里に暮らす温かい人々の交流も描かれていた。
さて今回は、完全なるハードボイルド。
作者は、これを書きたくて書きたくて仕方がなかったんだろうなあ・・・と想像がつく。
物語は、2年前に失踪した姉の行方を追って欲しいという美女の依頼から始まる。
本シリーズの特徴として、この美女の登場というのがある。
おじさんには、楽しい限りだ。
2年前の失踪には、遠い昔の因縁が美女の周辺に見え隠れする。
その因縁を追って、探偵と美女が福島周辺をあっちへ行ったりこっちへ行ったり。
盛り場の地回りや裏組織が、あちこちに暗躍する。
最後は、やっぱり大どんでん返し。
一、二作と読み進めたら、三作目「冬蛾」へと読み進めたくなるのは必定。