2015年12月26日

地層捜査 佐々木譲

作者は、佐々木譲(ササキジョウ)

90年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞する。

2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞受賞。

2010年『廃墟に乞う』で直木賞受賞。

大作家です。

【あらすじ】

公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件。

当時の捜査本部はバブル期の土地トラブルに目を向け、元刑事・加納もその線を辿ろうとする。

謹慎明けの刑事・水戸部は、かつて荒木町の芸妓だった老女の「過去」に目を向けるー。

【読後感想文】

捜査の舞台は東京四谷に花街があった時代でで、15年前の迷宮入り老女殺人事件を追うことになる。

バブルが終わり始めた時代で、地上げなんて言葉が何度も登場する。


その当時には、料理屋の亭主の失踪事件も発生していた。

さらにその46年前には若い芸妓失踪事件も・・・・。

それらの事件が互いに複雑に絡んで物語は進行する。

輻輳する3つの捜査。

メインの花街老女殺人事件に、他の失踪事件がどう絡んでくるか。

その絡みを解いていく刑事と退職刑事の二人。

それぞれの事件の捜査だけで一つの作品として味わいたい気もする。

時代を超えて何重にも事件が重なり合っていて、それがあたかも地層の重なりのように思えてくる。

刑事がその地層をめくりながら捜査を進めるうちに、読者にもだんだん犯人が分かってくる。

結末は思わせぶりだった。


表現が、非常に重厚な趣の物語だった。

「しっかりした表現力」という言葉を使いたくなるような小説。

入念な取材や資料精査があらゆる場面に散りばめているのもいい。


花街と色町の違いや「粋」と「野暮」の示す文化を知らない私にとっては、遠い昔の文化に触れるよい機会になった。






posted by 田沼 at 05:58| 福岡 ☔| Comment(0) | 読書のススメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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